ほおずき市

市の雑踏に疲れて、観音堂の横手の廻廊に上がれば、闇夜の中に煌々たる裸電球をともした市の賑わい振りが一目でみられる。
売られている品物が、「縁」 なので、なんとなく涼しく、ホッとさせられる。そこに多少風でもあろうものなら、何千とも知れぬ刷鈴がいっせいになり響くので、なんともいえぬ爽快な気分にさせられる。私はこれこそほおずき市の”ダイゴ昧”だと思う。
「東京で一番涼しいところですねエ」初めてこの市を見た知人が、この廻廊で聞いた風鈴の”交響楽”に思わず感嘆した。現代人は忘れてしまったが、クーラーなどでは、とても味わえぬ”価千金”のさわやかな夏の夜の気分である。
ほおずき市の縁起はよく分からないが、ある年のこの市で、僧形の老香具師の口上によると、昔源頼朝の軍勢が野宿したさい、さんざん害虫になやまされたが、ほおずき畑のあったこの付近に泊まった武士たちはなんの被害もなかったという。

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虫を避ける効果

ほおずきは薬草で虫が嫌う。これを窓辺に置けば虫が寄って米ないという。それで子供の「虫封じ」にも効果があるといわれるようになったのであろう・・・と。
誰にも頼まれたわけではないのに、自分の商売とは関係のない”市” の縁起を、ウソかマコ卜か、語っているのを聞いた。
その後この男を見ないが、昔は人寄せにいろいろな口上を述べて笑わせる香具師が随分いた。それがまた、市や祭りを一層面白くしたものだ。
時代が忙しくなったせいか、そういうノン気な商売風景もメッタにみられなくなったのが、なにやら寂しい・・・。

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